気づいたらもう嵐の中で
帰り道がわからなくなっていた
記憶の匂いばかり冷たく
空っぽのカバンをぎゅっと抱えて

時を奪う雨と風の中で
見えなくなって聞こえなくなってしまった
体だけが自動で働いて
泣きそうな胸を必死でかばって

止まったら消えてしまいそうだから
痛みと合わせて心も隠して
振り返ったら吸い込まれそうだった
今を繰り返す臆病な爪と牙

ここにいるためだけに
命の全部が叫んでいる
涙でできた思いが
この呼吸を繋ぐ力になる
いくつもなくなった後に
強く残ったひとつ残った

その声は流れ星のように
次々に耳に飛び込んでは光って
魚のように集まり出して
冷たかった胸に陽だまりができた

オーロラが広がっているって知った
ふと足元の無知と目が合って笑った
自分のじゃない足音と会った
すべてその声が見せてくれた

普通の触り方を知らないから
戸惑っていたら触れてくれた手に
どれだけ夜をくぐり抜けても
ずっと覚めないままの熱が脈を打つ

君がいるそれだけで
命の全部が輝く
凍りついた心に
その鼓動が響き火を灯す
わからないままでもそばに
君のそばに一番近くに

空っぽのカバンは空っぽで
愛しい重さを増していく
重くなるたび怖くなった
潰さないようにだけしめた

掴むよ掴んでくれた手を
闇を切り裂け臆病な爪と牙

ここにいるためだけに
命の全部が叫んでいる
ちゃんと守れるように
作られた体で生まれたよ
涙越えた言葉が
その鼓動から届き勇気になる
君がいるそれだけで
ああまだ暖かい
いくつもなくなった後に
強く残ったひとつ残った

離れないいつでもそばに
僕の中に一番近くに

Composição: Bump Of Chicken